これらの人工庭園の写真は、150から300枚以上の写真を使って造り上げられた合成写真である。
世界中で写真を撮影する。上海の池に咲く花、スペインのバロック教会、タイの古代寺院の仏像、ニューヨークの植物園、ヴァンセンヌの森の木漏れ日。まず自ら撮り貯めたそれらの写真の必要とされる部分を24x30cmの小型印画紙に白黒でプリントし、手に持ったハサミで必要な部分を切り出す。それを他の写真に糊で貼付ける。次に、この手仕事によって出来上がったフォト・コラージュをスキャンする。そしてそれを更にプリント・アウトして切り抜き、貼付け、スキャンする。この作業を必要に応じて繰り返す。デジタル画像のみでつくられた画像の単調な絵肌(テクスチャー)を避け、画面に深みを与えるために手作業(アナログ)とデジタル作業を往復するのだ。このように作られた写真に、さらにインターネットなど色々な方法で集められた写真が重ねられていく。宇宙の写真、天変地異の写真、顕微鏡写真などの写真は庭と世界を重ねるために不可欠だ。
最終的に数百枚の写真がコンピュータの中で重ねられ合成されひとつの庭のイメージとして作り上げられて行く。白黒のイメージはネガ出力され、作家自身で銀塩プリントをする。カラーのイメージを作るためには、エレメントになる一枚一枚のモノクロ写真をそのつど、イメージの完成に向けて微妙に色づけしていく。カラーのデジタルイメージはインクジェット・プリントによって、あるときは実物大の庭としてプリント・アウトされるのである。

Aki Lumi

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